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2017/12/13

塩浜の謎?の石造物(神奈川県川崎市 塩浜神明神社、出来野嚴島神社)

今日は古墳ではなく、近くの神社にある「謎」(?)の石造物について、である。

仕事が煮詰まってしまったので、気分転換に出掛けることにした。
仕事場を兼ねている自宅から10分も自転車を漕げば大師橋であり、寒風に身を竦めながら多摩川を渡るとそこは川崎市、大師河原である。
幹線道路に沿って工場やら倉庫やらが立ち並び、大型トラックがひっきりなしに行き交う、色で言えばモノトーンに沈んだ感じの、一見、どことなく無機質な印象を受ける街並みであるが、路地に入ればあちこちに神社や小さな祠などが残っている。
今となっては想像もつかないが、明治時代までは製塩の盛んな海浜の集落であったらしく、「塩浜」という地名が今でも残されている。
その塩浜地区に、以前から気になっていた石造物がある。

<塩浜神明神社>
塩浜地区の南に、地区の鎮守である「神明神社」がある。

01 塩浜神明神社

天照大神を祀る神社で、江戸時代にこのあたりで製塩が始まった頃、延宝7年(1679年)に鎮守として勧進されたそうだ。

02 塩浜神明神社

社殿前の狛犬は弘化4年(1847年)の作だそうで、台座には新橋や内神田の塩問屋の名前が見える。

03 塩浜神明神社狛犬

04 塩浜神明神社狛犬台座

05 塩浜神明神社狛犬

06 塩浜神明神社狛犬台座

さて、件の石造物は境内の奥、「稲荷神社」の社の隣の祠の中にある。

07 塩浜神明神社 謎?の石造物

砂岩か何か、柔らかい材質の石材に彫られたものだろうか。
潮風で摩耗してしまったのか、石仏のようにも見えるが、一体これは何なのだろう、と思う。

08 塩浜神明神社 謎?の石造物

これがもし人為的に作られた造形であるとすれば、作者は相当な美術センスを持っていたのだろうと思う。

隣には神像だろうか、穏やかな笑顔の石像が祀られている。

09 塩浜神明神社 神像?


<出来野嚴島神社>
先ほどの石造物が一体何なのか、明確にはわからないのであるが、実はよく似たものが、近くの日の出地区にある嚴島神社にも残されている。

10 塩浜神明神社

この神社の東側の海岸は戦前まで出来野海岸と呼ばれ、遠浅の干潟が遥か沖まで広がっていたそうだ。海沿いには防潮堤が築かれ、松並木が連なっていたそうである。
神社の創建は定かでないようであるが、市杵嶋姫神(イツクシマヒメノカミ)を祀ることから古くは「出来野弁財天」と呼ばれ、境内に聳える銀杏や松の大木が沖を行く船の目印になっていたそうである。

11 出来野厳島神社

境内の片隅にはそうした古の古木であろうか、枯れた巨木の切り株が残されている。

12 出来野厳島神社

この神社の境内にも、先ほどの石造物とそっくりなものが残されている。

13 出来野厳島神社庚申塔

幟旗には「出来野庚申地蔵菩薩」とある。

川崎区のホームページを見ると、「奉納されている力石や塩で溶けた二基の庚申塔に漁業で栄えた往時がしのばれる。」とある。
庚申塔であるならば、これは石材に彫られた一面六臂の青面金剛地蔵像だったのであろう。そう言われて見れば、右側の像は胸の前で両手を合わせて合掌しているようにも見える。

14 出来野厳島神社庚申塔

それにしても、海沿いで潮混じりの強風がいくら強いとは言え、それだけでここまで摩耗するものであろうか。
度重なる高潮で波に洗われるなどして、水の力で摩耗してしまったのだろうか。
もしかすると、海岸の岩を波が侵食して、自然にできた造形美が地蔵の形に似ている、として信仰の対象となったものとは考えられないだろうか。

いや、先ほどの神明神社のものと合わせると3体もある。恐らく、そんな偶然は3回も続けて起きないだろう。


暮れ行く雲を見上げながら、海岸沿いに松並木が立ち並んでいたという、ほんの80年前の風景を思い浮かべてみた。

その頃の庚申塔の金剛地蔵像は、一体どんな表情をしていたのだろうか。

15 出来野厳島神社夕空


(地図)
塩浜地図


(参考資料)
「かわさき区の宝物15-2出来野厳島神社」 川崎市川崎区ホームーページ www.city.kawasaki.jp/kawasaki/cmsfiles/contents/0000025/25622/15-2.pdf




コメント

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謎の石像

>もしかすると、海岸の岩を波が侵食して、自然にできた造形美が地蔵の形に似ている、として信仰の対象となったものとは考えられないだろうか。
 いや、先ほどの神明神社のものと合わせると3体もある。恐らく、そんな偶然は3回も続けて起きないだろう。

〇謎の石像
 記事と写真、拝見しました。
 偶然なのか、まさに謎の石像、興味深い記事でした。
 草々

Re: 謎の石像

レインボー様、いつもお読み頂き、本当にありがとうございます。

以前、自転車で散歩中、通りがかりに遠目に見て、一体今のは何だったのだろう、と気になっていました。
人工の石像が自然の力で摩耗したにせよ、岩を削る自然の力や、時の経過のようなものについて思いを新たに致しました。

拙いブログですが、今後ともどうぞよろしくお願い致します。