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2020/04/15

神社の起源になった円墳?(東京都板橋区 西台天祖神社 御嶽塚、浅間塚)

所沢への行き帰り、首都高5号線、板橋区の中台インターを使うことが多い。
このあたりは地図を見ると北に荒川の流れる低地を望む台地が成増から志村、小豆沢まで延々と続いている。この台地上は古墳や塚が多く築かれたようで、「東京都遺跡地図情報」を見ると、この台地の辺縁部に沿って古墳や塚のマークが累々と点在しているが、その大半は開発の波に呑まれ、残念ながら姿を消してしまっているようだ。
そんな中、西台にある西台天祖神社境内には「塚」マークが3つもプロットされているが、このうち二つはどうやら現存しているらしい。
(ご~ご~ひでりんさんの「古墳なう」に詳しいので、詳細はそちらをご覧頂ければと思う。)

西台は古くは「志村西台町」、もっと以前は「西台村」だったようで、前回触れた武蔵千葉氏の拠点の一つであった志村城から見て西に位置していることからそう呼ばれてきたらしい。台地の辺縁部には「谷津坂」、「とりげつ坂」など、趣深い坂も多くあり、どことなく中世の残り香のする懐かしい雰囲気の街並みである。

西台天祖神社はそんな閑静な住宅街の中に、北に向かって複雑な形で突き出した台地の縁に東面して建っている。

01 西台天祖神社

丸い額束のちょっと珍しい鳥居は寛政8年(1796年)の造立で板橋区内最古だそうだ。

02 寛政8年(1796年)造立、板橋区内最古の鳥居

複雑な地形に位置しているためか、境内はかなり高低差があり、先ほどの鳥居から境内へは階段で降りていく「下り宮」になっている。
御祭神は「大日霊貴命(おおひるめのむちのみこと)」、すなわち「天照大神」であって、江戸時代には神明社と呼ばれたそうである。創建年代は不詳ながら、伝承によるとなんと「円墳の上に営まれた祠が起源」とされるらしい。

03 西台天祖神社

そう思って見ると、平成になって建て替えられた社殿の下が少し高くなっているように見えるが、よもやこれが神社の起源となった円墳、という訳でもあるまい。

<御嶽塚>
先ほどの鳥居脇、左手奥の方を見ると、一つ目の塚が見えている。

04 御嶽塚

東京都遺跡地図では遺跡No.147番、「時代不明」の「塚」となっているが、境内の案内では「御嶽山」となっているので、これが「御嶽塚」だろう。
塚と言っても山状に盛土されたというよりは、階段で降りてきた東側道路との高低差のある法面を利用して築かれているような感じである。

05 御嶽塚

塚には溶岩石のような黒い岩が積み上げられており、富士塚でよく見るものと同じかな、と思ったが、信仰の対象は御嶽山であるから、これは富士山の溶岩ではないだろうし、塚の頂上に祀られている祠も御嶽社の祠だろうと思う。

06 御嶽塚

<浅間塚>
代わって今度は境内の左奥、二つ目の丸額束の鳥居後方にひと際高まった場所がある。

07 浅間塚

08 浅間塚

こちらも東京都遺跡地図ではNo.146、「時代不明」の「塚」とされているが、頂上に富士浅間神社、木花咲耶姫命が祀られており、これが「浅間塚」に当たるのだろう。

09 浅間塚

「古墳なう」さんの言うとおり、確かにここが最も「円墳!」に近い形状をしていると思う。

10 浅間塚

今回も「今昔マップ on the web」で明治の地図を見てみると、やはり浅間塚のあたりに「〇」印がプロットされている。

11 西台天祖神社 明治42年二万分の一「白子」
(明治42年二万分の一「白子」 浅間塚のあるあたりに〇印 今昔マップ on the webより)

この記号が塚/古墳を表すものかはわからないが、同じ記号は東側、「西臺」の文字の周囲にも複数プロットされている。
これらは現在の「とりげつ坂」の東側に当たるように思うが、そちら側も解析谷が入り込んでいて、高低差のある崖状地形になっているので、古墳や塚を築くのには持って来いの地形であるようにも思える。

天祖神社から800mほど南、西台3丁目の西台後藤田遺跡からは平成23年に6世紀代の円筒埴輪と直径20mと推定される古墳跡の周溝(西台後藤田遺跡第4地点1号墳)が見つかっており、周辺から別の古墳の周溝も見つかっていることから、いくつかの古墳が群集していた可能性も考えられているようである。
明治の地図の「〇」記号は、後藤田遺跡北方の台地辺縁部、現在の西台公園付近にもプロットされており、ますますもってこの古墳好きのオッサンには、この「〇」記号は在りし日の古墳の位置を示しているものに違いない!と思えてならないのである。
己の欲で視野の欠けた大人も多い昨今、そんな大人にゃぁわたしゃぁなるまい、と常々思ってはいるけれど・・・。

最後にもう一つ、西台天祖神社には極めてユニークな石神様が祀られている。流行咳や疫病を鎮めて下さる有難い神様だそうなので、極めてイマ風の神様ではある。参詣に行かれた方はそちらも是非・・・。

<投稿:2022.5.22>

(参考)
「東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス」 東京都教育委員会 https://tokyo-iseki.metro.tokyo.lg.jp/map.html#main
「古墳なう」 http://gogohiderin.blog.fc2.com/
「今昔マップ on the web」 http://ktgis.net/kjmapw/index.html
「西台で古墳を発見!」 板橋区ホームページ 「時代を紡ぐ」 平成23年度


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